今日は、ピアノ上達のために大切な「教材選び」についてのお話。

最近のピアノレッスン導入期の教材は本当にいろいろあって、その上新刊もたくさん出てきて、目移りします。
アメリカのものはドの音から順番に進むことにとらわれず、音と親しみながら早い段階でコードへの理解を促していますし、ロシアのものは美しいメロディが手の形に無理なく配置されているものが多いと思います。
日本の出版物も、表紙や挿し絵がかわいらしいのはもちろん、どの場所の音からどのように進んでいくのか、特徴はそれぞれ多様です。これだけ多くの出版があるという事は、やはり上達するためのメソッドに絶対はなく、学習するもの、与えるものが技術習得のために切磋琢磨している結果なのだと良い方向に解釈しています。

私がレッスンで大切にしていることの一つ、「自分の力で読譜できる」ようにするために、

〇どの場所の音からどのように学習が進んでいくか

は、教材選びに大切なポイント。バイエルのように、ト音記号で出発したのに、ある日突然ヘ音記号が出てきて混乱する、なんてことが起きないよう、私の場合は中央ドから右手も左手も学べるものを選ぶことが多いです。

また、主に右利きさんが多い日本では、幼い子がおもちゃの鍵盤付き絵本で遊び弾きするのは大抵右手ですね。小さな子には右手だけで短いフレーズを歌って読んで弾けるようにする最適な楽譜があります。

未就学児さん、絵本大好きさんにはこれ!
★絵と歌の絵本 みぎて (ひだりて・りょうて もあります) 呉暁 著/音楽之友社

尊敬する呉先生の本。「絵本」と銘打つほどですので、面白い歌にかわいい絵が満載で、小さな生徒さんとお話しながら楽しくレッスンが進みます。みぎてが問題なければ「ひだりて」「りょうて」とどんどん進み、遊んでいるように読譜が進んでいく良い教材だと思っています。

〇挿し絵が美しく、またはかわいらしく、想像力をかきたてられるかどうか

といったこともオールクリアです。

 

ゲームつき!色音符で無理なく学習!
★ぴよぴよぴあの シリーズ
知ってる曲も入って、歌ったり連弾したり、楽しく学習できます
★キッズピアノ シリーズ       ともに 遠藤 蓉子 著/サーベル社

 

どちらも中央ドから始まり、音を色分けながらヘ音記号の音まで学習できます。「ぴよぴよシリーズ」は、読みにくい5本線を取っ払った状態からスタート、中にゲームも入っていたりして、遊びながら学習したい小さいさんに人気です。
「キッズピアノシリーズ」は、進んでいくとベートーヴェンやショパンの曲をアレンジしたものが入っていたりして、その都度、作曲家のお話をすることが出来ます。

 

幼児の皆さんは、とにかく音をたくさん読み、たくさん弾き、指を動かしていきたいので、一曲一曲が短く出来ているのもポイントの一つだと思います。

短いフレーズで楽しく無理なく指を育てられると定評なのはやはり
★バーナム ピアノテクニック シリーズ      エドナ・メイ・バーナム 著 / 全音楽譜出版社

私はこれをいろんなイメージで弾いてもらっています。例えば「歩く」というところでは、誰がどんなふうに歩くのか?たくさんパターンを考えてイメージしてもらい、音に表現すると、楽しい時間がどんどん増えます。

 

一方、見た目がかわいらしい楽譜は男の子には良し悪しな時もあります。理論的な男の子には、とにかく音符のみがガンガン並んでいるものも選んだりします。

可愛い絵が苦手な男の子、指先が器用な男の子には、
★チャレンジピアノ シリーズ  遠藤 蓉子 著 / サーベル社

は、指をたくさん動かして早い段階で両手弾きに進みます。弾ければどんどん進む指の運動の箇所は、生徒自ら、「ここまで弾く!」と宣言して弾く子もいます。

 

それから、最近一部に取り入れているのは、

★ピアノアドベンチャー シリーズ  ★バスティン シリーズ

などのアメリカ物です。他の教室から転入した生徒さんが使っていたのをきっかけに、先日、ピアノアドベンチャーの講習会に参加しました。実に多方面からアプローチされており、子供の興味関心をそそるようにプログラムされている印象でした。元気で楽しいことが大好きな子に向いていると思います。

 

その他にも、

  • 知ってる曲でどんどんひける ぴあのひけるよ! シリーズ 
  • ぴあのどりーむ シリーズ
  • ピアノランド シリーズ
  • オルガン・ピアノの本 シリーズ

などなど、それぞれのパターンに合わせて選定しています。

 

小学校中学年程度から始める子、または、導入シリーズでは物足りない子には、私は右手も左手も5指をドレミファソにおいて弾ける本を選ぶことが多いです。いずれもところどころに良く知っている曲が入っていて、弾きたい気持ちを引き出してくれるものがおすすめ。

 

教材の選定には、レッスンを数回やって、この子にはどのタイプの教材がいいかを見極める時間を頂戴します。

〇その子にとって無理なく理解が進み、ちょっと難しくてすぐに出来るようになること=成功体験をたくさん積んで学習が前向きで楽しいと感じられるように

を考えながら、教材を選びます。

これに副教材として、

★リズム・ソルフェージュの本
★ワークブック

を使用しています。子供たちはリズム学習が大好きです!気持ちを上げて、読譜の理解度を高めるためになくてはならない本。ワークは、教材と並行して出版されているものがあるので、流れにそってアウトプットできます(^^)

 

選んだ教材がバチッとはまって、ぐんぐん進んでいく姿を見るのはとても嬉しいことですので、これからも教材研究は真剣にやっていくつもりです(*^-^*)